地方都市 / 吉江 淳
¥4,400
地方都市をテーマにした個展を重ねてきた吉江淳の初の本格的写真集。
-------以下、吉江淳によるあとがきより抜粋-------
『地方都市という町は存在しない。それは首都圏以外のあらゆる都市のことを指すのだという。にもかかわらず日本全土に無数にあるこの相対的な都市に僕はいつしか惹き付けられるようになっていた。ここであると同時に、ここではないどこかの都市を内包している、そんな架空の都市への憧憬がどこかにあったのだろう。
だが実際には、各地域で時間を積み重ねて出来た独自の集合体が均一化されたまちづくりシステムに侵食されていると言えるような光景がどこまでも続くなかで、カメラ片手に彷徨うほかはなかった。(中略)
それでも日々の中で歩いていると、目の中に飛び込んで来る光景が妙に生々しい存在感を放っていることもある。それは光のせいかもしれないし、またその地域に張りつめる空気感かもしれないし、前景と背景のバランスのようなものかもしれないし、あるいは長い時間を帯びた建物がそれでも目の前にあるという驚きからくるものかも知れない。
いづれにしてもそのとき僕にとって大事なことは、その光景をいかに自分の思考を加えずに受け入れられるのかということだ。そうすることによって写真が、見慣れた空間の中にあって、その土地の隠れた凄みを持つ世界へと連れて行ってくれる。そしてそのときにこそ地方都市という実体のない町が、少しだけその顔をのぞかせているような気がしてならない。』
編著: 吉江淳
発行: 蒼穹舎
サイズ:230 x 250 x 16 mm、128頁、作品122点
サイン入り